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2010年04月28日

045 めまい・胃が重い 76歳女性

[症例] 76歳女性
[主訴] めまい・胃が重い
[初診] 5月
[現病歴] 以前よりしばしばめまい、嘔気、動機発症し受診していた。農作業を頑張ってひどく疲れていた。立ち上がるとふらふらする。
[他症状] 2年前から「胃から下らない」時がある。
[既往歴] 高血圧(内服加療中)、GERD

[現症] 神経症状なし
 瞼 隈あり
[漢方所見]
(望診) 神経質そう
(舌診) 裂紋 少、淡、苔 少
(脈診) 右<<左、右は細く中間位、左は浮いている

[判断と処方]
自律神経・胃腸運動弱そう。
胃腸とめまいを目標に、半夏白朮天麻湯 処方する。

[経過]
●1ヵ月目
「だいぶよくなった。5日かった。あの薬きいた」
明るい表情で受診。継続処方は不要と考え、2ヶ月分処方しフォロー中止とした。

●3ヶ月目
「胃腸、つかえるような感じが薬をのんでいるとなくなった。続けたい」と受診。
内服、継続することにする。

●6ヶ月目
「あの薬のんでいると安心していられる」
希望にて続ける

●8ヶ月目
「めまいの方はすっかりよくなった。けれど胃が重苦しい。食べて30分くらいは休まないと動けない。農作業には1〜2時間休憩が必要。立ち仕事は座り仕事が出来ない」
「胃がこうなったのは数年前からだけれど、10ヶ月くらい前から悪化」
胃腸機能を整えることに集中することに決めた。六君子湯に変更。

●10ヶ月目
「よくなった!だいぶ楽になった。あの薬のみやすい」
「小さい子がミルク飲んだ後、げっぷが出るような感じがずっとあったのが、なおった」
しばらく継続することにする。

(感想)
胃腸の弱いひとのめまいへの半夏白朮天麻湯の効果を実感。
六君子湯は体が弱い状態を立て直すのにとても便利。補中益気湯より副作用少なく飲みやすい印象。

2008年11月18日

021 3〜4年続く強い背部痛 53歳女性

症例: 53歳女性
主訴: 背部痛
初診: 9月

現病歴: 3〜4年前から背中に痛みと凝りがある。夜仰向けに寝ることができない。医療機関で精査するも特に異常なく、温泉・鍼・体操も一時的にしか効果ない。
 痛みは背中中央。背中を鷲づかみにするような筋肉が収縮するような痛み。夜中に目が覚める。背中を丸めないと寝れず、朝起きると体中がこわばっている。

他症状: 右手中指・薬指に痺れがある

既往歴: なし
生活歴: 喫煙 15本/日、飲酒(-)
家族歴: 母RA、父再生不良性貧血

所見:
全身元気。
右肩甲骨内側に圧痛あり。右手3-5指間にこわばりあり
腹部 心窩部に圧痛(+)、臍右下に圧痛(+)
頭痛なし

舌 白色の苔多、やや黄色
脈 やや浮く、細


判断と処方:
右心包系の痛みと考えられる。消化器・循環器の機能低下も考えられる
全ての症状の治療を開始しても難しそう。全身倦怠感強そうなのでまずは消化器機能を整えることとした。
→六君子湯処方

経過:
(1ヵ月後)
・胃の方はほんの少しよくなった気がするけれど、背中はよくならない
・胃、ちょっと動き出したかな、と思う
・背中にすごく汗をかく、そのあたりからいつも冷える
・肩首筋が凝る

→風門の冷汗と筋肉痛から葛根湯証と考え、追加で処方

(2ヵ月後)
・背中の痛みから、肩こり・腰痛といった風邪をひいたときのような痛みになった
・よくなってきた気がする
表情よい

→効果あったと判断。冬は違う地域で生活されているとのことなので、3か月分処方。痛みつづいていたら春から再診とした

(感想)
4年続く痛みを漢方をつかうとなおせるのは、こっちもうれしい

2008年09月20日

017 るいそう 70代女性

症例: 70代女性
主訴: るいそう
初診: 7月
現病歴: インフルエンザと低カリウム血症による脱力にて入院、自分で加療した患者様。その3ヵ月後に、半年で52kgから40kgへの体重減少あるとのことで紹介受診。

他症状:
・CA19-9 45と上昇と便潜血陽性みられた
・エコー、CT、胃カメラなどでの全身精査も異常見られず。高齢であったため大腸カメラは施行しなかった。

生活歴: 夫は1年前に他界、一人暮らし

処方と経過:
消化機能低下とのことで、精査をしつつ六君子湯を処方。
2ヶ月で43kgへと体重増加に転じたため、またこれそれ以上の西洋学的精査を望まれなかったためあとのフォローは主治医にお願いすることとした。
半年後、経過良好とのことをきいている

(感想)
消化機能の低下に対する六君子湯の効果を強く感じた症例

2008年08月12日

010 口腔内のねばねば感 70代女性

症例: 70代女性
主訴: 口腔内のねばねば感 「上から口に落ちてくる気がする」

現病歴: 1年半前に風邪をひいた。咳、鼻水は治ったのだが口の中がねばねばするようになった。耳鼻科受診し副鼻腔炎の診断を受けて半年治療するも改善せず。主治医にGERD含め精査、薬物調整受けるもねばねば治らず。精査希望し当院受診。

他症状:
・やる気がでない
・だるい
・脚がつりやすい(7〜8回/月)
・ひどい冷え性、風邪をひきやすい
・半年前に1日間の原因不明の健忘あった
・涙はたくさん出て困る
・夜寝ているときに咳はでない
・楽しめている

既往歴:
・肺良性腫瘍
・右手本態性振戦
・高血圧、高脂血症、不整脈、慢性胃炎、卵巣嚢胞

生活歴: ADL自立

所見:
・表情活気あり
・口腔内粘性の唾液著明
・舌 胖、紫、舌下毛細血管散在
・脈 不整、やや沈
・手 やや熱感(+)
・腹 心窩部緊張(+)圧痛(+)、臍下冷感著明
・副鼻腔CTにて両側軽度副鼻腔炎(+)

処方と経過:
・前医: 副鼻腔炎治療も効果なし。シェーグレンらしくはない。GERD考えPPI処方も変化なし。薬剤性の可能性も考えたが(7種類内服)切れる薬なし。
・はじめは証を掴みきれず、脾虚も腎虚もあるか?GERDの可能性はあるとGERDに対してevidenceある六君子湯6g処方しまずは様子見。
・3週間後、便はいくらか硬くなったが他著変なしとのこと。ときどき足の感覚がおかしくなることもあるのでいっしょに治してほしいとのこと。体力低下し四肢冷感ある鼻疾患に対応するものとして苓甘姜味辛夏仁湯5g投与。
・1ヵ月半後、「治らない」「朝のうちはわりあいいいが」「鼻から出る感じが多くなってきた」 副鼻腔炎、神経症・心身症、頭部に水の滞りあり消化機能も低下している状態、と考え半夏白朮天麻湯7.5g処方。
・3ヵ月後、「ねばねばへってきた」「後の薬はいつもの先生のところで出してもらう」とのことで主治医に祭紹介、診療終了。

(感想)
・証がまったくつかめず、右往左往してしまった…
・振り返ってみると、活力のめぐりの悪さがあった。そこを解きつつ整理するのがよかったか