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2009年06月25日

038 こむら返り 76歳女性

[症例] 76歳女性
[主訴] こむら返り
[初診] 5月
[現病歴] 脊髄症両足底部痛,両臀部痛に対し腰部脊柱管狭窄症を71歳で手術.頚髄症も存在していたが症状悪化したため74歳で頚椎後方徐圧術施行.その後,両手の痺れは改善したが,下肢の冷感・痺れは著変なし.右手指先部の痺れも継続した.腰部再手術を行い,下肢疼痛軽減も残存し,整形外科受診を継続していた.鍼灸でも加療されていた.
「お風呂に入ったとき,足がいつもけいれんする.前は寝ているときに息もできないくらいいつもけいれんした.今は少し治った」
「足裏何かはいている感じ.鍼灸かよって戻りつつある」
[他症状] 
 冷え強く夏でも炬燵を使っている.下剤あまり効かない,尿の出遅い,
[既往歴] 高血圧,便秘,不眠症,GERD,飛蚊症,頻尿

[内服]
降圧薬(Ca拮抗約,ARB),下剤(センノシド,酸化マグネシウム),睡眠薬(短期作用型),桂枝加朮附湯,血管拡張薬(オパルモン),ビタミンB12,湿布

[現症] 体重・身長
 血圧 134/77,脈 80, 体温 35.9℃
 結膜貧血(-)
 肩こり後背筋に強い
 下肢浮腫(-),両足を持ち上げると痛がる,足底紫色「痛いときは赤くなる」
[漢方所見]
(舌診)苔 やや黄色・厚め、舌質 やや暗、舌下静脈(+)
(脈診)右<左,渋・沈・弱,
(腹診)満,圧痛(-)

[判断と処方]
血虚からのこむら返りと考えられた.寒邪も強そう.

養血し温めることを目的に,桂枝加朮附湯も出ているので基本的な四物湯を処方.こむら返りに頓用で芍薬甘草湯.

[経過]
・3週間後
「おかげさまでいままでになくいいです.今までは朝は寝っきりだったけれど,今は体があったかくて楽.自分の足じゃなかった感じも戻ってきた」「芍薬甘草湯は10回くらいつかった,使うとすぐ治る」「便でにくい」

舌 やや大・紅,苔消失,舌下静脈怒張

四物湯継続.

(感想)
・疎経活血湯のほうがいいのかもしれない.今後の様子見.便秘もあるので,大建中湯でおなかの中から温めると,消化管の動きも全身状態もよくなるのかもしれない.様子見ていく.