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2009年01月16日

025 左下腹部痛 43歳女性

[症例] 43歳女性
[主訴] 左下腹部痛
[初診] 冬
[現病歴] 2〜3年前より原因の分からない2ヶ月に1回ほどの腹痛あり。4週前より咳と咽頭痛あり。1週間前より左腸骨とその内側が痛み始めた。咳をするとひびいた。4日前より痛み激しく、3cm大のしこりがあったため整形外科を受診するも明らかな異常認めず。内科受診するも明らかな異常なし。婦人科受診も明らかな異常なし。しかし痛み続くため総合内科を再受診した。
[他症状] 最終月経 1ヶ月前、外傷(-)、排便正常(血便なし、黒色便なし)、排尿障害(-)、浮腫(-)、
家族に風邪をうつし、みんな治ったのに自分だけが咳が続く(熱はひいた)、寝ているときや起きた直後がひどい、走ったときもひどく咳き込む
[既往歴] 右眼内腫瘍(手術で摘出)、虫垂炎(手術)、健診で胃の入り口がゆるいといわれたことあり、
[生活歴] タバコ(-)、酒(-)、
[妊娠] 3G2P(2年前に流産)
[アレルギー] 子どもを生んでアレルギー性結膜炎や咳が半年間ひどくなったことがあるが半年で治った

[所見] バイタル異常なし、左下腹部に圧痛(+)、明らかな腫瘤ふれず、血液検査で炎症(-)、
脈 特に異常なし
舌 淡・苔白薄・地図状舌・舌下静脈怒張

[判断と処方]
婦人科受診も腹腔内に異常なく、オ血あるので桂枝茯苓丸処方
風邪後の咳が継続している。腹痛消失後整理することにした。

[経過]
2週目
「飲んだら痛みが少し下に下がった、と思ったら消えた」「口が渇く」
舌 やや黄色、舌下静脈怒張消失

→ 桂枝茯苓丸効かあったため中止。五虎湯開始

3週目
「5日間で夜の咳消えた。走るとまだ少し出る」

→五虎湯をもう10日間継続してみる

(感想)
明らかな内臓異常がなく、筋肉痛があるときは漢方薬や鍼灸は使いやすい

2008年08月19日

011 慢性咳漱・左膝痛 50代男性

症例: 50代男性
主訴: 慢性咳漱・左膝痛

現病歴: 5年ほど前からずっと咳があった。15日くらい前から両みぞおちが常に痛むようになった。喉に何かひっかかるかんじもある。

他症状:
・他、両手PIP、右膝も痛い。朝のこわばりは10分。
・汗はよくでる、水は1500くらいのむ
・冷え性あり
・下痢気味
既往歴:
・10年ほど前に頭をぶつけ、1年間脳外科に通ったことある
・高血圧
生活歴:
・タバコ 1箱弱/日
所見:
・舌 オ血(-)、青色
・胸部・膝X線・心電図明らかな異常なし

処方と経過:
まず咳をなおすこととした。体力中等度での慢性咳漱として、五虎湯を処方。

(1ヵ月後)
・1日のんだら急に咳が少なくなり、その後も徐々に減っている。胸の痛みも取れた。
・舌 奥は青いが先端部は赤くなった

→希望もあり、五虎湯継続

(3ヵ月後)
・2週間前から風邪をひいてなおらない。咳がひどい
・心窩部圧痛(+)

→体力低下者の慢性に経過している風邪と判断し、麻黄附子細辛湯に変更

(4ヵ月後)
・前の薬にかえて1週間でよくなりました

→咳漱改善と判断、五虎湯停止。今後、関節痛を改善することとした。まず、脾虚と判断し人参湯処方。

(5ヵ月後)
・膝まだ痛い
・風邪ひいて、咳でる。治療する前に戻った。風邪をひくまで咳調子よかったけれど
・風邪は前からひきやすい
・DIPが痛い。朝10分間程度の硬直あり

→風邪に対して麻黄附子細辛湯を短期間。人参湯に加え、五虎湯再開。

(6ヵ月後)
・咳少なくなった
・膝の痛み感じなくなってきている
・指の痛み、前はPIPが痛かったのに、だんだん痛みが先のほうに移動してきた

→人参湯だけでもう一度みてみる

(感想)
・咳の最後の悪化は、メンゲンだったか? 症状が消失する最後に似た症状が悪化する経過は、興味深かった
・漢方薬の中止は、本人がやめたいというまで待つのが安全なのか?