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2008年08月12日

010 口腔内のねばねば感 70代女性

症例: 70代女性
主訴: 口腔内のねばねば感 「上から口に落ちてくる気がする」

現病歴: 1年半前に風邪をひいた。咳、鼻水は治ったのだが口の中がねばねばするようになった。耳鼻科受診し副鼻腔炎の診断を受けて半年治療するも改善せず。主治医にGERD含め精査、薬物調整受けるもねばねば治らず。精査希望し当院受診。

他症状:
・やる気がでない
・だるい
・脚がつりやすい(7〜8回/月)
・ひどい冷え性、風邪をひきやすい
・半年前に1日間の原因不明の健忘あった
・涙はたくさん出て困る
・夜寝ているときに咳はでない
・楽しめている

既往歴:
・肺良性腫瘍
・右手本態性振戦
・高血圧、高脂血症、不整脈、慢性胃炎、卵巣嚢胞

生活歴: ADL自立

所見:
・表情活気あり
・口腔内粘性の唾液著明
・舌 胖、紫、舌下毛細血管散在
・脈 不整、やや沈
・手 やや熱感(+)
・腹 心窩部緊張(+)圧痛(+)、臍下冷感著明
・副鼻腔CTにて両側軽度副鼻腔炎(+)

処方と経過:
・前医: 副鼻腔炎治療も効果なし。シェーグレンらしくはない。GERD考えPPI処方も変化なし。薬剤性の可能性も考えたが(7種類内服)切れる薬なし。
・はじめは証を掴みきれず、脾虚も腎虚もあるか?GERDの可能性はあるとGERDに対してevidenceある六君子湯6g処方しまずは様子見。
・3週間後、便はいくらか硬くなったが他著変なしとのこと。ときどき足の感覚がおかしくなることもあるのでいっしょに治してほしいとのこと。体力低下し四肢冷感ある鼻疾患に対応するものとして苓甘姜味辛夏仁湯5g投与。
・1ヵ月半後、「治らない」「朝のうちはわりあいいいが」「鼻から出る感じが多くなってきた」 副鼻腔炎、神経症・心身症、頭部に水の滞りあり消化機能も低下している状態、と考え半夏白朮天麻湯7.5g処方。
・3ヵ月後、「ねばねばへってきた」「後の薬はいつもの先生のところで出してもらう」とのことで主治医に祭紹介、診療終了。

(感想)
・証がまったくつかめず、右往左往してしまった…
・振り返ってみると、活力のめぐりの悪さがあった。そこを解きつつ整理するのがよかったか