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2010年12月22日

053 右上腹部痛 79歳女性

[症例] 79歳女性
[主訴] 右上腹部痛
[初診] 9月
[現病歴] もともと便秘がち。兎糞状の便。今まで右上腹部痛経験したことはなかった。1日前、14時から約2時間下腹部痛があった。トイレに3〜4回いったら兎糞状の便がでて痛み消えた。朝9時頃、右上腹部が痛くて目が覚めた。朝、2回排便があったが痛み改善せず。寝てもおきても痛かった。近医受診し当院に内科に紹介された。
[痛みの性質] 波なし、息をするときに鈍痛あり、刺すような痛みではなく今まで経験したことのない種類の痛み。吸気、歩行で増悪する。放散痛なし。 
[既往歴] 虫垂炎を手術で治療、癒着あり再手術、甲状腺を手術したため検査を年1回している。
[内服] 常用薬なし、下剤使用していない
[家族歴] 特記すべきことなし

[現症] 頭頚部異常なし、腹部軟、腸音正常、ガス(++)、便塊を腹壁越しに触れる、右上腹部と左下腹部最強も全体的に圧痛あり、吸気で右上腹部の疼痛悪化しない
[検査] 腹部超音波:胆嚢肝臓含め異常所見なし、胸部X線:異常なし、腹部X線:ガス多い(イレウス認めず)、血液: ヘモグロビン11.8と貧血傾向、他明らかな異常なし
[処置] 便秘疑い浣腸施行も液が出るのみ、便塊肛門からふれず、腹痛持続 
→東洋医学で対処することにした

[漢方所見]
(望診) 身軽に動いている、やせている

[判断と処方]
消化管の機能低下、蠕動運動不十分なことから疼痛が生じている可能性あり。
ミヤリ散3g分3、麻子仁丸2.5g分1、大建中湯15g分3開始した。

[経過]
2週間後、「おなかはったり痛かったりすることはまだあるが前ほどではない、通じは毎日はないけれど一回の量は少なくなり回数ふえた。右上腹部はもう痛くない」
「冷え性なんです。足や手はつめたくて・・・」「前からですが、やせて・・・」
→処方継続

2ヵ月後「よくなりました。通じの時間は不規則だけれど、毎日でます」
4ヵ月後「前みたいにころころした便はなくなった。いつもは手足が冷たくて電気毛布をあつくしていたけれど、今はおかげさまであったかいです」
→ 改善傾向みとめるので処方継続

(感想)
腸の運動が低下しているときの大建中湯の効果を実感した。冷え性があると効きやすく、また冷え性も改善する。

2008年08月11日

008 便秘 80代男性

症例: 80代男性
主訴: 便秘

現病歴: 膠原病疾患の診断のために入院。PMR? RA?
それ以外の症状として、以前より下剤を使用し5日に1回何とか便を出すという状態であるとのこと。

他症状:
・兎糞状のコロコロした便

処方と経過:
・高齢者の兎糞状の便秘、とのことなので麻子仁丸5g処方。その翌日から
「毎朝ちょうどいい便がでるようになった」とのこと。

(感想)
西洋的下剤ではコントロール不良であった便秘が、毎日快便となった症例。

ただ、下剤をずっと使い続けることは体を弱くするので避けたいところ。膠原病が整理できたら、消化器を整える建中湯類で整えたいところ…