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2008年10月05日

018 2週間続く咳 74歳女性

症例: 74歳 女性
主訴: 2週間続く咳、咽頭痛、発熱
初診: 9月
現病歴: 2週間前に咳が出始めた。咳は弱まってきたのだが夕方熱が出る。今朝は熱がでて起きられない状態で心配できた。

他症状:
・痰(+)、扁桃腺よくはれる、咽頭痛(+)、鼻汁(+)
・消化器症状(-)、肩こり(+)、関節炎(+)、腰痛(+)、膝変形性関節症(+)、難聴(+)、冷え性(++)、白内障(+)

既往歴:
・胃癌(10数年前)
・左腎(-)
・胆石、緑内障
・肺炎球菌ワクチン接種歴なし、風邪は何年もひいていなかった

家族歴: 家族に感冒症状(-)

所見:
・表情くらい
・37.2度
・咽頭発赤ごく軽度、副鼻腔圧痛(-)、
・胸部異常音(-)
・下肢edema(-)、四肢冷感(++)
・舌下静脈怒張、無苔、湿潤、泡多数、裂紋(++)、口唇やや紫、やや胖
・下腹部脱力、白線目立つ、
・脈 浮・大・やや虚

処方と経過:
感冒の遷延。高齢者の感冒なので、まず麻黄附子細辛湯で様子を見てみることに

→1週間後
改善認めず。
小陽病期に進行しているためだと判断。
柴胡桂枝乾姜湯7.5g3Xに変更。

→1週間後
顔色よく、笑顔あふれている
「2日目に発熱なくなりました。4〜5日でなおりました」
「このまま、どんどん悪くなっていって死ぬしかないのかな、と思ったのによくなって…! ありがとうございました」

(感想)
「風邪をこじらせる」結果としての肺炎はよく言われるが、ウイルス感染後に体調が乱れていく高齢者が一定の割合でいる気がする。そういったときに小陽病期の薬剤を使うと劇的によくなる。もっと研ぎ澄ましたい。

2008年08月19日

011 慢性咳漱・左膝痛 50代男性

症例: 50代男性
主訴: 慢性咳漱・左膝痛

現病歴: 5年ほど前からずっと咳があった。15日くらい前から両みぞおちが常に痛むようになった。喉に何かひっかかるかんじもある。

他症状:
・他、両手PIP、右膝も痛い。朝のこわばりは10分。
・汗はよくでる、水は1500くらいのむ
・冷え性あり
・下痢気味
既往歴:
・10年ほど前に頭をぶつけ、1年間脳外科に通ったことある
・高血圧
生活歴:
・タバコ 1箱弱/日
所見:
・舌 オ血(-)、青色
・胸部・膝X線・心電図明らかな異常なし

処方と経過:
まず咳をなおすこととした。体力中等度での慢性咳漱として、五虎湯を処方。

(1ヵ月後)
・1日のんだら急に咳が少なくなり、その後も徐々に減っている。胸の痛みも取れた。
・舌 奥は青いが先端部は赤くなった

→希望もあり、五虎湯継続

(3ヵ月後)
・2週間前から風邪をひいてなおらない。咳がひどい
・心窩部圧痛(+)

→体力低下者の慢性に経過している風邪と判断し、麻黄附子細辛湯に変更

(4ヵ月後)
・前の薬にかえて1週間でよくなりました

→咳漱改善と判断、五虎湯停止。今後、関節痛を改善することとした。まず、脾虚と判断し人参湯処方。

(5ヵ月後)
・膝まだ痛い
・風邪ひいて、咳でる。治療する前に戻った。風邪をひくまで咳調子よかったけれど
・風邪は前からひきやすい
・DIPが痛い。朝10分間程度の硬直あり

→風邪に対して麻黄附子細辛湯を短期間。人参湯に加え、五虎湯再開。

(6ヵ月後)
・咳少なくなった
・膝の痛み感じなくなってきている
・指の痛み、前はPIPが痛かったのに、だんだん痛みが先のほうに移動してきた

→人参湯だけでもう一度みてみる

(感想)
・咳の最後の悪化は、メンゲンだったか? 症状が消失する最後に似た症状が悪化する経過は、興味深かった
・漢方薬の中止は、本人がやめたいというまで待つのが安全なのか?