« 2010年02月 | メイン | 2010年05月 »

2010年04月28日

046 下半身に元気がない 73歳男性

[症例] 73歳男性
[主訴] 下半身脱力
[初診] 12月
[現病歴] 4ヶ月前から腰痛・右足痛あり、近医整形受診。X線も大きな異常なく、ブロックを5回ほどした。1週間持つが良くはならなかった。心配でMRIとりたくて受診。
[他症状] 下半身に力が入らず、散歩時もガードレールを伝い歩き必要。すっと立てない。しゃがんで仕事できず箱を椅子に使わざるを得なかった。つま先がじりじりしびれている。冷え(-)。
[生活歴] タバコ 20本/日
[既往歴] 帯状疱疹、胃潰瘍
[家族歴] 特記すべきこと無し

[現症] 肥満(++)
[検査] 血圧 120/72、HbA1c 8.5%、ABI 異常なし、心電図 異常なし、胸部X線 心拡大なし、腰部MRI すべり症(+)

[漢方所見]
(望診) 体格良く元気そう

[判断と処方]
[経過]
糖尿病あり。しかし、下半身の脱力はそれだけでは説明できない。年齢の影響考え、牛車腎気丸証と判断。

生活習慣の改善をまず調整。
同時に、牛車腎気丸内服開始。

・1ヶ月後
「あの薬のんだら少し足に力が入るようになった。両足の指先のぴりぴりがえらいよくなった気がする」

・2ヶ月後
「だいぶ歩けるようになった。散歩でガードレール必要なくなった。簡単に立てるようになった。しゃがんで仕事できる。」

栄養調整努力する意志がとても強い方なので、血糖も徐々に調整中。


(感想)
やはり、西洋医学だけでも、東洋医学だけでも患者さんをとらえきること、治療しきることはできない。

045 めまい・胃が重い 76歳女性

[症例] 76歳女性
[主訴] めまい・胃が重い
[初診] 5月
[現病歴] 以前よりしばしばめまい、嘔気、動機発症し受診していた。農作業を頑張ってひどく疲れていた。立ち上がるとふらふらする。
[他症状] 2年前から「胃から下らない」時がある。
[既往歴] 高血圧(内服加療中)、GERD

[現症] 神経症状なし
 瞼 隈あり
[漢方所見]
(望診) 神経質そう
(舌診) 裂紋 少、淡、苔 少
(脈診) 右<<左、右は細く中間位、左は浮いている

[判断と処方]
自律神経・胃腸運動弱そう。
胃腸とめまいを目標に、半夏白朮天麻湯 処方する。

[経過]
●1ヵ月目
「だいぶよくなった。5日かった。あの薬きいた」
明るい表情で受診。継続処方は不要と考え、2ヶ月分処方しフォロー中止とした。

●3ヶ月目
「胃腸、つかえるような感じが薬をのんでいるとなくなった。続けたい」と受診。
内服、継続することにする。

●6ヶ月目
「あの薬のんでいると安心していられる」
希望にて続ける

●8ヶ月目
「めまいの方はすっかりよくなった。けれど胃が重苦しい。食べて30分くらいは休まないと動けない。農作業には1〜2時間休憩が必要。立ち仕事は座り仕事が出来ない」
「胃がこうなったのは数年前からだけれど、10ヶ月くらい前から悪化」
胃腸機能を整えることに集中することに決めた。六君子湯に変更。

●10ヶ月目
「よくなった!だいぶ楽になった。あの薬のみやすい」
「小さい子がミルク飲んだ後、げっぷが出るような感じがずっとあったのが、なおった」
しばらく継続することにする。

(感想)
胃腸の弱いひとのめまいへの半夏白朮天麻湯の効果を実感。
六君子湯は体が弱い状態を立て直すのにとても便利。補中益気湯より副作用少なく飲みやすい印象。