019 49歳女性 心窩部の重苦しさ・易疲労感・下肢のむくみ
症例: 49歳 女性
主訴: 心窩部の重苦さ・易疲労感・下肢のむくみ
初診: 7月
現病歴: 約1ヶ月前から心窩部の重苦しさが出現。息も苦しく、疲れやすく、むくみも出やすくなった。夏は仕事で忙しいのでその前に治療したいと受診。
既往歴:
・橋本病(3年前に指摘されたが治療するほどではないといわれた、その頃も息苦しさ感じるも心電図で異常ないといわれた)
・虫垂炎(中学生)
家族歴: 父 前立腺癌、母 原発性胆汁性肝硬変
社会歴: 喫煙(-)、ビール350cc/day
他症状:
むくみは朝に顔に強く出る、脚に夕方でる、臥位で息苦しさなし、夕方や長時間歩いたあと息苦しくなる、吸うときに息苦しい
冷え(+)、便1日1回、尿近い(1〜2時間に1回)が夜尿に起きることなし、食欲正常、体重は3年で5kg増えて59kg、月経は半年前に終わった
汗ではじめるととまらなくなる、寝つきはいいけれど夜中に起きること多く3〜4時間で目が覚める、
気分がふさぐことあり
3ヶ月くらい前から右手がしびれる
所見:
全身状態良好、笑顔あり、
脈 沈・遅・右>左
舌 淡・薄白苔・舌下静脈怒張
HEENT 異常なし、甲状腺触れず
胸部 異常なし
腹部 軟、腹力弱、心窩部軽度圧痛あり、臍上部に動悸触れる、下腹部の圧痛(-)
四肢 浮腫(-)、右手首ティネル(+)
心電図 異常なし
採血 高脂血症あり(総コレステロール 256)、甲状腺・腎機能異常なし、
処方と経過:
息苦しさがあること、汗が止まらなくなること、下腹部に所見がないことから、当初は肺気虚と考えて補中益気湯処方
右手首は湿布で対応
→1ヵ月後受診
「疲れているわりには眠れない日もある」
「胸の重苦しさ、息苦しさは気にならなくなった」
「汗、なかなかでないが出始めると止まらない」
「夜中に起きてしまうこと、回数は減ったがある」
「手の痺れは消えた」
体重 56.5kg
状態良くなってきているので補中益気湯継続
→ 2ヵ月目
「夜は眠れるようになってきた。朝3〜4時におきてしまうことあっても、夜中におきることはなくなった」
「だるさは変わらない」「むくみと息苦しさは以前ほど気にならなくなった」
「汗はかきだすとやはりとまらない」「毎朝疲れがとれていない」
「だるくて、仕事がやりたくない、とおもってしまうのがすごく嫌だ。前みたいに楽しく仕事がしたい」
補中益気湯の効果少ないと考え、更年期障害でやや虚証であることから当帰芍薬散に変更。むくみに対しても効果を狙った
→ 3ヵ月目
「今度の薬でむくみは取れやすくなった」
「今度の薬は気持ちが落ち着く。前の薬は気持ちは元気にはなるけれど、焦る感じがでた。今くらいがちょうどいい気がする」
「汗かかなくなった」「朝疲れが取れない感じは気にならなくなった」
しかし、当帰芍薬散ではなく補中益気湯を希望するとの電話が薬局より。なぜか?
そろそろ薬の減量を考える時期と考えながら、状況を患者さんに教えていただく。