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2009年10月16日

040 腰痛 77男性

[症例] 77歳男性
[主訴] 腰痛
[初診] 5月
[現病歴] 前日、石を運んでいたときに急に腰が痛くなった。近医受診し湿布処方されたが腰痛悪化。耐え難く、救急外来受診した。
 痛み性状: 動くと痛い。動かなければ平気。座位保持でも痛みなし。歩行はなんとか可能。
[生活歴] タバコ20本/日、日本酒コップ1杯
[既往歴] 前立腺肥大、(骨折歴なし)
[内服薬] 前立腺肥大症治療薬

[現症] 脊椎叩打痛(-)、傍脊柱筋圧痛強度、右臀部・右大腿外側に圧痛強度
[検査] 腹部エコー 腎盂拡張認めず・大動脈瘤認めず

[判断と処方]
明らかに筋肉に圧痛あり、また内臓に明らかな異常認めず。
急性腰痛症と診断。

うつぶせ、右足を30度横に曲げた姿勢が楽とのことだったのでその姿勢を保持。腰L3周辺皮膚を頭側に押し上げ、右大腿中央外側の圧痛点を痛みが出る直前で固定、腹式呼吸に変化したことを確認した。徐々に大腿の圧痛点を、疼痛がでる直前の深さを確認しながら押しこんだ。15分ほどで押し込みきっても圧痛消失。同時に腰痛消失した。
再発ないよう芍薬甘草湯とNSAIDを処方の上で帰宅とした。

2009年06月25日

038 こむら返り 76歳女性

[症例] 76歳女性
[主訴] こむら返り
[初診] 5月
[現病歴] 脊髄症両足底部痛,両臀部痛に対し腰部脊柱管狭窄症を71歳で手術.頚髄症も存在していたが症状悪化したため74歳で頚椎後方徐圧術施行.その後,両手の痺れは改善したが,下肢の冷感・痺れは著変なし.右手指先部の痺れも継続した.腰部再手術を行い,下肢疼痛軽減も残存し,整形外科受診を継続していた.鍼灸でも加療されていた.
「お風呂に入ったとき,足がいつもけいれんする.前は寝ているときに息もできないくらいいつもけいれんした.今は少し治った」
「足裏何かはいている感じ.鍼灸かよって戻りつつある」
[他症状] 
 冷え強く夏でも炬燵を使っている.下剤あまり効かない,尿の出遅い,
[既往歴] 高血圧,便秘,不眠症,GERD,飛蚊症,頻尿

[内服]
降圧薬(Ca拮抗約,ARB),下剤(センノシド,酸化マグネシウム),睡眠薬(短期作用型),桂枝加朮附湯,血管拡張薬(オパルモン),ビタミンB12,湿布

[現症] 体重・身長
 血圧 134/77,脈 80, 体温 35.9℃
 結膜貧血(-)
 肩こり後背筋に強い
 下肢浮腫(-),両足を持ち上げると痛がる,足底紫色「痛いときは赤くなる」
[漢方所見]
(舌診)苔 やや黄色・厚め、舌質 やや暗、舌下静脈(+)
(脈診)右<左,渋・沈・弱,
(腹診)満,圧痛(-)

[判断と処方]
血虚からのこむら返りと考えられた.寒邪も強そう.

養血し温めることを目的に,桂枝加朮附湯も出ているので基本的な四物湯を処方.こむら返りに頓用で芍薬甘草湯.

[経過]
・3週間後
「おかげさまでいままでになくいいです.今までは朝は寝っきりだったけれど,今は体があったかくて楽.自分の足じゃなかった感じも戻ってきた」「芍薬甘草湯は10回くらいつかった,使うとすぐ治る」「便でにくい」

舌 やや大・紅,苔消失,舌下静脈怒張

四物湯継続.

(感想)
・疎経活血湯のほうがいいのかもしれない.今後の様子見.便秘もあるので,大建中湯でおなかの中から温めると,消化管の動きも全身状態もよくなるのかもしれない.様子見ていく.

2009年05月09日

034 右肘内側疼痛 62歳女性

[症例] 62歳女性
[主訴] 右肘内側疼痛
[初診] 5月
[既往歴] 高脂血症(内服治療中)
[現病歴] 5〜6年前から年に一回、腕の痛みが出現、整形外科受診し鎮痙薬、痛み止め、胃薬処方され様子を見ていた。今回も右肩から疼痛発症、徐々に疼痛部位下降し右前腕内側近位部に持続する鈍痛あり。毎年受診している整形外科が遠く行く時間を作れないため当院受診。
[他症状] 月経痛にこまったことなかった
[生活歴] 3年前退職。とてもストレスの多い家庭環境
[漢方所見]
(望診) 体重・身長 中肉中背痛み辛そう
(舌診)苔 白薄、先端紅、舌下静脈怒張、軽度の静脈瘤散在
(脈診)右 浮・実、左 沈・虚
(腹診)左下腹部圧痛あり

[判断と処方]
ストレスからの肝血虚、それを基点とした筋肉痛とオ血?

まず疼痛に対し救急処置とした。右前腕内側近位が痛いということなので、巨刺を狙って反対側の左下腿近位部を中心に鍼を行うことと決めた。鍼治療は受けたことはないとのことなので、軽めの応急処置のみで体質治療までは行わないことと決めた。
右腕の痛みは三焦経上にあった。右指間を診察すると、3〜4指間の圧痛が最も強い。三焦・心包経がストレスから最もゆがんでいると判断。
左趾裏を探ると、1〜5趾の中で2趾が最も痛み強い。両側足底1〜2趾間に魚の目あり。肝経のゆがみが強いと判断。

鍼開始。
左下腿、LR3 太衡を念入りに処置。腹式呼吸へ変化し表情和らいだことを確認。
LR7 膝関、BL57 承山、SP6 三陰交と経穴があることを確認しつつ取穴。右腕の疼痛許容レベルまで軽減。
右手 3〜4指の中手骨間に存在した経穴を取穴。前腕の疼痛ほぼ消失。

体質改善を今後もしたほうがいいと思われるが、鍼灸院での治療継続勧めるも望まず。漢方薬で体質改善をはかることにした。
桂枝茯苓丸処方。痛み止めとして芍薬甘草湯とボルタレン処方。3週間後にフォローとした。

[経過]
夕方電話すると、夕方頃から疼痛ぶり返したとのこと。朝の痛みが10なら7のレベル。
今後も調整必要と考えられた。

2009年03月19日

031 こむら返り 50代男性

[症例] 50代男性
[主訴] こむら返り
[初診] 3月
[現病歴] 以前より、オ血・水滞あり桂枝茯苓丸、当帰芍薬散で加療することあった患者様。こむら返りが最近つらいとのこと。
[判断と処方]
「中高年のこむら返りには芍薬甘草湯」と処方したところ、「のんだらすぐに楽になったよ!」とのこと。
以後頓用とした。

(感想)
「中高年のこむら返りには芍薬甘草湯」と広く言われるほどの効果を実感した。