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015 胃痙攣・背部痛 70歳女性

症例: 70歳女性
主訴: 胃痙攣・背部痛
初診: 7月

現病歴: 左手に放散する、冷や汗を伴う強い左前胸痛あり、入院精査。しかし痛みはすぐに改善し、器質的も異常見つからず。胃痙攣の診断で退院となった。しかし、東洋医学的に全身の体調不良認めたため外来にて治療開始となった。また、退院後鍼灸に行ったところ、「やるとおしっこがよく出る。次の日までだるいけれどそのあととても調子がいい」とのこと。

既往歴: サルコイドーシス、ガングリオン、高血圧、狭心症(根拠は不明、未治療)
性格: まじめ、働き者、我慢強い

所見:
・右肋骨から心窩部にかけて違和感あり
・首肩筋肉緊張、背部右Th10レベルに圧痛あり、背部左L1レベルに圧痛あり

処方と経過:
水毒による体調不良と考えた。年齢から血虚、腎虚もあると思われるので、それら三つを同時に改善する当帰芍薬散処方。

→1ヵ月後
「食欲がでてきてこまっちゃう」
「右の背中のはりがなかなか消えない」
「母が飲ませてくれた薬にそっくりなにおいで、母を思い出しちゃった。同じ薬なのか?」
「まずくないです」
「のむとそのあと体がすごくあったかくなるんです。おしっこが増えるんです」
「扇子、扇風機の風にあたるとすぐ喉が痛くなるの。すぐ40度出ちゃう」
「イライラしなくなってきた気がする。前はちょっとしたことでくよくよ考え込んでいたのに」

舌: 暗赤色、やや胖大、舌下静脈+++

(感想)
振り返ると、消化器中心に水毒がたまり、症状を引き起こしていた様子。鍼灸、当帰芍薬散で水毒をさばきつつ、同時に体力を補ったため全身状態が改善したと考えられた。風邪に弱い体質はどうすれば治るのか、様子をみていく。

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