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014 易疲労感・めまい・耳鳴り 80歳女性

症例: 80歳女性
主訴: 易疲労感・めまい・耳鳴り 等
初診: 6月

現病歴: 25年前の外傷後、めまいと耳鳴り出現。50日入院して加療するも耳鳴りは一生続くと言われた。特に今年になってから右耳が耳鳴りでぜんぜん聞こえなくなった。最近少し動くと疲れる。右の肩甲骨の下が痛くなる。右膝が痛くなることあるので時々ヒアルロン酸の注射を整形外科でしてもらっている。

他症状:
・尿は近い、尿失禁しばしばあり、夜1〜2回トイレに起きる

既往歴:
・不整脈(SSS ペースメーカーあり)
生活歴:
・タバコ(-)、酒(-)

所見:
・生気の無い顔、全身元気ない、声小さい
・難聴
・口唇 紫
・心窩部硬く圧痛あり、右下腹部軽度圧痛、臍下脱力

処方と経過:
・所見から鬱血や消化機能の低下が目立ったが、倦怠感や難聴や膝疼痛から根本は腎陽虚と考え、八味地黄丸選択した。

→1ヵ月後
「肩甲骨の下の痛みがなくなりました」
「1週間薬のんだら胃がおかしくなった気がして1週間のむのをやめた。でも娘に言われて少し量を減らして呑み続けている」
「右の膝、左の腿の上にのせられなかったのがのせられるようになった」
「なんとなく元気が出るようになって来た気がする」

地黄による消化器症状一時期出現するも、体が慣れて回復した。効果はあるようなので続行とした

(その1週後 めまいあり救急で他医を受診)

→2ヵ月後
「今も右を下にしてねるとめまいがおきる。右が耳鳴り強い」
「膝の痛み楽になって正座が少しできるようになった」
「肩も痛い。それでめまいがおきているのか? 畑をやると右肩が痛くなる」
「薬をのむと効いたような気がする」

脈: 虚
口唇: 紫

八味地黄丸の効果はでているのだろうが、めまいが続いているので頭部の水毒をさばく苓桂朮甘湯で1週間様子診ることにする。漢方だけでなく、即効性のある鍼灸にも通ってもらうことにする。

→2ヶ月と1週後
(その1週の間に膀胱炎あり泌尿器で治療を受けていた)
「めまいは減ったけれどまだある」
「鍼灸やったらめまいは2〜3日でよくなった。肩こりがなくなって楽」
「いいサプリメントないかな」

息子の話では、鍼灸に行くのは嫌がっていたが息子の説得で行ってみたとのこと。それがよく効いて、行ってみて喜んでいるとのこと。

サプリメントのようなものとして八味地黄丸をだしていると説明し、続行。

→3ヵ月後
「鍼灸やったらめまいがなくなった!!」(とても喜んでいる)
「肩も、少しいいと草むしりとかしちゃって肩が痛くなることもあるけれど、湿布しなくてもよくなりました」
「疲れやすくなくなった」
「耳鳴りは20数年も続いているし、消えない」

足が軽そう。表情も柔らかい

脈: 中庸
舌: 紫、舌下静脈怒張

効果も安定してきたので2ヵ月後のフォローとした


(感想)
漢方薬と鍼灸の効果をなかなか納得してもらえなかったが、基礎体質(体力、膝痛)が改善できたと考えられた。

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