027 動悸 73歳女性
[症例] 73歳女性
[主訴] 動悸
[初診] 1月
[現病歴] 夫が末期癌。治療法がないとのことで退院し、娘のところにいる。夫のところにいくと動悸がでて苦しくなる。一番ひどいのはトイレ、冷たい便座に座ると動悸がでる。暖かいと平気。近医の外来で心電図とったけれど何もないと言われた。セルシン処方され様子を見ている。「このまま続くと困る」
[他症状] 喉に痰がらみあり、ゲップすると治る、足冷える、足が冷えると動悸でやすい、左足が痛くて杖をついていた時期あり、
[生活歴] 夫とは不仲、都会出身
[既往歴] 高血圧、高脂血症、CCLでアレルギー
[内服] 動機時セルシン、メバロチン、ノルバスク
[所見]
化粧していない。白髪多い。
右2指に振戦あり、声に力あり、筆圧弱め、
脈 浮、左の脈弱い
舌 淡
腹 心窩部圧痛(+)、臍下軟
足 浮腫(-)、静脈瘤(-)
[判断と処方]
基礎に腎陽虚あり。
肝血虚+気滞 からの症状。
半夏厚朴湯の適応もあるかもしれないが、アレルギーもあり、トラブル少ない香蘇散をまず使用。腎陽虚に対して八味地黄丸の適応もあるだろうが、やはりアレルギーを避けたいので様子を見る
[経過]
・2週後
髪を染め、化粧している
「よくなりました!!!」「ほんとうにうれしくって!」
たまに動悸あったけれど、セルシンのまないでも、深呼吸するとおさまる。
「寒くなると、がんばらなきゃ、と動悸がでます」
脈 浮、輪郭はっきりしているがやや虚
右下腿背側外側・左下腿背内側近位部に圧痛
香蘇散著効。しばらく続ける。
機会をみて八味地黄丸導入。
(感想)
不安の強い動悸に香蘇散は著効する