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043 のどがいがらっぽい・左頚部腫脹 43歳男性

[症例] 44歳男性
[主訴] のどがいがらっぽい、左頚部腫脹
[初診] 5月
[現病歴] 3年前からのどがいがらっぽい。ものを飲み込むときにひっかかる。1年位前から左頚部が腫れている。首を前傾すると、喉の前が後ろにあたっている気がする。耳鼻科、消化器科受診し内視鏡行うも異常なし。GERDではないか、とPPI・六君子湯処方されるも改善なく中断。「甲状腺の問題じゃないかと心配」で総合外来受診。
[他症状] 腰椎椎間板ヘルニアを8年前手術したが、昨年から左足のしびれあり(「立っていると刺されるような感じ」)。MRI施行も悪化はないと言われている。姿勢によっては足の甲も痛くなる。5分歩くとつらい。

[現症] 中肉中背、左頚部軽度腫脹も明らかな腫瘤触れず、
[検査] 頚部エコー も異常認めず

[漢方所見]
(望診) 問診表にびっしりと几帳面に書かれている。
(舌診) 特に異常なし
(脈診) 細、滑
(腹診) 上腹部が硬く軽度圧痛あり、左上腹部にしこりあり

[判断と処方]
咽喉頭神経症 疑い。半夏厚朴湯効きそう。問診表にびっしりと書いている点も半夏厚朴湯を示唆する。
⇒半夏厚朴湯を処方。

[経過]
●3週目
「症状改善しました」
継続することにする

●2ヶ月目
「寝汗をかく」
寝汗からは帰脾湯効果ありそうな気がするが様子見とした。

●4ヶ月目
仕事に加えて子供の関係で、夜21時にねて、朝1時に起きる生活を続けていると話してくれる
処方継続

●7ヶ月目
「それ以上変わらずにいる」
手足が冷たくなることはないと。
手の爪が、匙状でありかつ縦筋が目立つことに気づく。
また、食後眠くなるとのこと。

脾血虚がある印象。
寝汗も含めると、帰脾湯効果ありそう。ストレス強いのでその整理も目的に、加味帰脾湯を加えることにする。
半夏厚朴湯を3包→2包へ。加味帰脾湯1包追加

●9ヶ月目
「薬変えてからだいぶ楽になりました。今の症状は初めのころの3割くらいです。まだいがらっぽさはあるけれど、詰まった感じはなくなった」
今の処方をしばらくつづけることにする。いずれ加味帰脾湯の増量も検討。


(感想)
咽喉頭神経症、と考えて半夏厚朴湯をつかったがそれのみではよくならなかった症例。振り返ってみれば、半夏厚朴湯のみで治る患者さんのようなストレスの強さや張り詰めた感じは弱く、ストレスで弱っている印象を受けていた。そのような患者はやはり加味帰脾湯を加えるべき。

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