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029 下腿浮腫 85歳男性

[症例] 85歳男性
[主訴] 下腿浮腫
[初診] 7月
[現病歴] 高カルシウム血症、高マグネシウム血症からの全身倦怠感、呼吸筋麻痺にて入院となった患者様。5年ほど前より下腿浮腫あり、慢性腎不全の診断で利尿剤調整されるも改善せず様子を見ていた。
[他症状] 下肢冷感(夏でもソックスが気持ちいいとのこと)
[既往歴] 喉頭癌、心筋梗塞、甲状腺腫瘍、脳梗塞(明らかな麻痺なし)、腹部大動脈瘤、高血圧、慢性腎不全
[生活歴] 喉頭癌手術までタバコ 40本/日 35年
[所見] 体表エコーにて右膝関節静脈2本中1本完全閉塞、両側膝窩血管石灰化

[判断と処方]
下肢冷感、下腿浮腫、慢性腎不全、コントロール不良の高血圧、難聴、視力低下、高齢等から腎陽虚と診断し、牛車腎気丸内服開始。

[経過]
その後主治医の下でフォローされ、当院を3ヵ月後に受診したときには下腿浮腫消失していた。

(感想)
利尿剤でコントロール不能だった下腿浮腫が牛車腎気丸にて改善した症例。
浮腫に対し、一般的な西洋薬では腎の仕事量を増加させ血管から水分を引くことによって、third spaceから水分をひく。つまり、third spaceから血管内へ直接水分を引く薬は存在しない。それに対し、漢方薬ではthird spaceから血管内に水分をひく薬が複数存在する。本症例はそのうちの牛車腎気丸を使用し著効した。敗血症の茯苓四逆湯など、third spaceの水分コントロール目的の漢方薬の使用はもっと見直される必要があるのかもしれない。

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