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2009年10月16日

041 乳癌 65歳女性

●乳癌 65歳女性 当帰芍薬散・六君子湯

[症例] 65歳女性
[主訴] 乳癌、全身倦怠感、食欲不振、右腕浮腫、癌性潰瘍
[初診] 5月
[現病歴] 3年前から右乳房の異常を自覚していたが受診できず放置。徐々に乳房崩れてきたがやはり放置。3か月前、強い呼吸苦あり受診し進行乳癌の診断受けた。受診時、右胸全体潰瘍化。多量の右胸水あり。右第4〜6肋骨融解。脳・肝臓に明らかな転移なし。胸水穿刺と胸膜癒着術施行。ホルモン療法にて癌・潰瘍縮小認めた。潰瘍はパウダーで処置。訪問診療・看護を利用し月1回病院外来に通うことになった。
[他症状] 食欲不振
皮疹(以前から頭、四肢に発赤散在。ステロイド塗布で減退するが、他の場所に再出現することを繰り返している)
全身倦怠感強く、歩行困難。お風呂も一人では入れない。
[内服薬] 抗ホルモン剤、アスピリン、PPI


[現症] 体型:やせ形
収縮期血圧 70〜90と低血圧(立ちくらみなし)
右胸全体潰瘍化、右上腕浮腫著明、右呼吸音減弱
皮疹散在
指に縦筋目立ち、色は紫色、四肢冷感目立つ

[漢方所見]
(舌診)苔 荒・白、舌質 紅、舌下静脈(+++)
(脈診)沈細弱、右>>左
(腹診)臍動悸(+)、両下腹部圧痛(+)、臍下不仁(+)

[判断と処方]
舌下静脈(+++)、両下腹部圧痛、癌、皮疹 →オ血
爪縦筋・紫色、食欲不振 →脾気虚、血虚
ほか、リンパ液の循環不全あり

当帰芍薬散(3g)で、血液補いリンパの循環よくすることにした
六君子湯(3g)で、食欲低下あるので、また内臓の弱さ目立つのでこれも補うことにした。

[経過]
全身倦怠感、食欲低下が徐々に軽快。3か月でひとりでお風呂に入れるくらいに回復した。

(感想)
抗ホルモン療法が効いたのか、漢方薬が効果あったのか、実際のところは不明瞭。しかし、体調は良くなってきている。抗ホルモン薬がそこまで効果はないだろうから、おそらくは効いている。
このように苦しんでいる人を、これからも治したい

040 腰痛 77男性

[症例] 77歳男性
[主訴] 腰痛
[初診] 5月
[現病歴] 前日、石を運んでいたときに急に腰が痛くなった。近医受診し湿布処方されたが腰痛悪化。耐え難く、救急外来受診した。
 痛み性状: 動くと痛い。動かなければ平気。座位保持でも痛みなし。歩行はなんとか可能。
[生活歴] タバコ20本/日、日本酒コップ1杯
[既往歴] 前立腺肥大、(骨折歴なし)
[内服薬] 前立腺肥大症治療薬

[現症] 脊椎叩打痛(-)、傍脊柱筋圧痛強度、右臀部・右大腿外側に圧痛強度
[検査] 腹部エコー 腎盂拡張認めず・大動脈瘤認めず

[判断と処方]
明らかに筋肉に圧痛あり、また内臓に明らかな異常認めず。
急性腰痛症と診断。

うつぶせ、右足を30度横に曲げた姿勢が楽とのことだったのでその姿勢を保持。腰L3周辺皮膚を頭側に押し上げ、右大腿中央外側の圧痛点を痛みが出る直前で固定、腹式呼吸に変化したことを確認した。徐々に大腿の圧痛点を、疼痛がでる直前の深さを確認しながら押しこんだ。15分ほどで押し込みきっても圧痛消失。同時に腰痛消失した。
再発ないよう芍薬甘草湯とNSAIDを処方の上で帰宅とした。

2009年03月18日

030 腰痛 31歳男性

[症例] 31歳男性
[主訴] 腰痛
[初診] 3月
[現病歴] 介護系の職業。以前から腰痛あるとのことで相談を受けた。
[他症状] 左下肢疼痛あり。冷えなし。
[所見] 脈 特記すべき異常なし
 脈 左関が虚
 舌 白薄苔、舌下静脈軽度
 腹 腹力中、心窩部圧痛あり、臍下不仁(-)
 下肢 左右2〜4指圧痛目だった、大体外側圧痛あり

[判断と処方] [経過]
オ血、腎虚あるかと考えつつ診察したがそれらの所見はなかった。消化器、肝臓系が弱そうだった
仕事による筋肉痛が主体と考え、出先で鍼灸もなかったため操体にて対応した。

どのような寝方が楽かときくと、右即臥位、肩から腰まで丸める寝方がもっとも楽とのことだった。左肩と左腰を、からだがより丸まるように強調する皮の操体を行うと、腹式呼吸に変化。「気持ちいい」とのこと。話をしつつ5分程度その状態を保ったのちに、右大腿を調べると外側中央に圧痛著明。疼痛部位を、疼痛が出る直前まで肘で押し、徐々に力を強くしていった。3分程度で強く押しても痛みが出なくなったので治療終了とした。腰痛は消失した。

(感想)
腰痛に対し、操体で治療し短時間で軽減した症例。
漢方薬や体操のだとどのように軽減できるのか、疑問が残った。